
「女性活躍推進に取り組んでいるのに、女性管理職が増えない」「育児支援制度は充実しているが、女性のキャリアアップに繋がらない」と感じている企業は少なくありません。その原因は、「働きやすさ」の整備だけに偏っている可能性があります。本記事では、女性活躍推進に必要な「働きやすさ(両立支援)」と「働きがい(キャリア支援)」の両輪という考え方を解説し、マミートラックを防ぎながら女性が長期的に活躍できる組織づくりのポイントをご紹介します。
目次
1. 女性活躍推進とは「働きやすさ」だけではない
1-1 女性活躍推進が企業に求められる理由
女性活躍推進という言葉を聞くと、「女性管理職を増やすこと」と捉えられることがあります。しかし、本来の目的はそれだけではありません。企業が女性活躍を推進する背景には、少子高齢化による労働力不足への対応と、多様な視点を取り入れることで新たな価値を創造するという二つの大きな目的があります。
だからこそ重要なのは、「女性だけを優遇すること」ではなく、一人ひとりが能力を発揮できる環境を整えることです。女性が活躍できる組織は、育児や介護、治療との両立など、さまざまな事情を抱える社員にとっても働きやすい組織になります。
女性活躍推進は、企業の成長戦略であり、人的資本経営やダイバーシティ経営を実現するための重要な取り組みなのです。
1-2 女性活躍は「働きやすさ」と「働きがい」の両輪
企業では、育児休業制度や短時間勤務制度、テレワークなど、「働きやすさ」を高める制度整備が進んできました。こうした制度は、育児と仕事を両立するために欠かせないものです。
しかし、それだけでは女性活躍は実現できません。
大切なのは、「働きやすさ(両立支援)」と「働きがい(キャリア支援)」の両方を実現することです。
働きやすさとは、安心して働き続けられる環境づくりです。一方で働きがいとは、自分の能力を発揮し、成長し、キャリアアップを実感できる状態を指します。
この二つはどちらか一方ではなく、車の両輪のような関係です。働きやすさだけでは成長できず、働きがいだけでは長く働き続けることが難しくなります。女性活躍を本当に実現する企業は、この両方をバランスよく支援しています。
2. 働きやすさだけではマミートラックが生まれる
2-1 両立支援だけではキャリアが停滞する理由
育児中の社員に配慮しようという思いから、責任の軽い仕事ばかり任せたり、重要なプロジェクトから外したりする企業があります。
もちろん、本人の希望による場合もあります。しかし、本人の意思とは関係なく、「時短勤務だから」「子どもが小さいから」という理由だけで成長機会が失われてしまうケースも少なくありません。
このように、育児をきっかけにキャリアの本流から外れ、昇進や能力開発の機会を失ってしまう状態は「マミートラック」と呼ばれます。
企業は「配慮しているつもり」でも、本人にとってはキャリア形成の機会を奪われている可能性があります。
2-2 マミートラックが企業にもたらす影響
マミートラックの問題は、本人だけの問題ではありません。
能力の高い社員が十分に力を発揮できなくなることで、組織全体の生産性やイノベーション創出の機会も失われます。また、「どうせ育児をするとキャリアアップできない」というメッセージが社内に広がれば、若手社員のモチベーション低下や離職にもつながりかねません。
女性活躍を推進しているつもりでも、制度だけが充実し、成長機会が提供されていなければ、本来の目的は達成できません。
重要なのは、「守ること」ではなく、「活躍できるよう支援すること」という視点への転換です。
3. 女性活躍を実現するキャリア支援とは
3-1 中長期でキャリアを考える機会をつくる
女性のキャリア支援は、育児休業から復職するタイミングだけで始めるものではありません。
入社後の早い段階から、自分がどのようなキャリアを築きたいのかを考える機会を継続的に設けることが重要です。
「どんな仕事に挑戦したいか(Will)」「自分にはどんな強みがあるか(Can)」「会社から何を期待されているか(Must)」を定期的に整理することで、ライフイベントがあってもキャリアを中断することなく、自分らしい働き方を描きやすくなります。
※こちらについては、コラム『キャリアとは?いま企業に求められる『キャリア自律』の考え方』をお読みください。
キャリア支援とは、昇進を勧めることではありません。社員一人ひとりが、自分らしいキャリアを主体的に考えられる環境をつくることなのです。
3-2 成長できる仕事とフィードバックを提供する
育児中だからといって、簡単な仕事ばかり任せることが本人のためになるとは限りません。
大切なのは、現在の状況に合わせながらも「少し背伸びすれば達成できる仕事」を任せることです。
成長機会を提供し、上司がこまめにフィードバックを行うことで、「自分にもできる」という自信が育まれます。
特に女性は、自分の能力を過小評価しやすい傾向があると言われています。そのため、成果だけでなく、努力や強みを具体的に言葉で伝えることが、自己効力感を高め、次の挑戦への意欲につながります。
キャリア支援とは、制度ではなく日々のマネジメントの積み重ねでもあるのです。
4. 女性活躍は誰もが活躍できる組織づくりにつながる
女性活躍推進は、決して女性だけのための施策ではありません。
育児や介護、治療との両立、副業や学び直しなど、多様な働き方が求められる時代において、「働きやすさ」と「働きがい」の両立は、すべての社員に共通するテーマです。
女性が長く活躍できる組織は、男性も、高齢社員も、若手社員も活躍できる組織です。
女性活躍を入り口に組織全体のマネジメントを見直すことが、結果として企業のエンゲージメント向上や人材定着、組織力の強化につながっていきます。
5. まとめ
女性活躍推進を成功させるためには、制度を整えるだけでは十分ではありません。
重要なのは、
- 働きやすさ(両立支援)
- 働きがい(キャリア支援)
この二つを両輪として推進することです。
働きやすさだけでは、マミートラックによるキャリア停滞を招く可能性があります。一方で、キャリア支援まで視野に入れることで、女性がライフイベントを迎えても能力を発揮し続けられる組織へと変わっていきます。
女性活躍とは、女性だけの問題ではありません。誰もが自分らしく働き、成長できる組織づくりへの第一歩なのです。
「女性活躍を推進したいが、制度整備だけで終わっている」「管理職が育児中の社員への関わり方に悩んでいる」といった課題はありませんか。
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