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経験学習モデルとは?自己効力感を高める4つのステップと人材育成への活かし方

コラム

2026.07.18

前回の記事では、キャリア自律を支える重要な要素として「自己効力感」について解説しました。自己効力感とは、「自分ならできる」という行動への自信です。しかし、その自信は知識を学ぶだけでは育ちません。

人は、実際に経験し、その経験を振り返り、次の行動へ活かすことで成長していきます。そして、その経験の積み重ねが「自分ならできる」という自己効力感につながります。

一方で、同じ経験をしても大きく成長する人と、なかなか成長しない人がいます。その違いは、「経験の量」ではなく、「経験からどのように学んでいるか」にあります。 そこで今回は、人材育成やキャリア自律の実践で注目されている経験学習モデルについて解説します。経験を成長につなげる4つのステップや、管理職が部下育成で実践したいポイントをご紹介します。

1.経験学習モデルとは?経験が人を成長させる理由

1-1 人は経験から学ぶ

「人は経験から学ぶ」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際に仕事を通じて新しい業務に挑戦したり、お客様との関わりの中で工夫を重ねたり、時には失敗を経験したりすることで、人は少しずつ成長していきます。
もちろん、研修や書籍から知識を得ることも大切です。しかし、本当に力が身につくのは、その知識を実際の仕事で試し、自分の経験として積み重ねたときです。
だからこそ、人材育成において最も重要なのは、「経験する機会」をつくることです。
しかし、「経験さえ積めば成長する」というわけではありません。
同じ経験をしても大きく成長する人もいれば、何年経っても同じことを繰り返してしまう人もいます。
その違いを説明してくれるのが、「経験学習モデル」です。

1-2 経験学習モデルの4つのステップ

経験学習モデルは、アメリカの教育学者デービッド・コルブが提唱した理論です。
人は次の4つのステップを繰り返すことで成長すると考えられています。
• 具体的経験(まずやってみる)
• 内省的観察(経験を振り返る)
• 抽象的概念化(経験から自分なりの考えや法則を導き出す)
• 能動的実践(学びを次の行動で試す)
そして、その実践が新たな経験となり、再びサイクルが回っていきます。
この4つのステップがうまく回ることで、経験は単なる出来事ではなく、自分自身の成長へとつながっていきます。

2.同じ経験でも成長する人・しない人の違い

2-1 成長の第一歩は「内省的観察」

経験学習モデルの中で、まず欠かせないのが「内省的観察」です。
内省とは、単に反省することではありません。
経験を客観的に振り返り、「なぜその結果になったのか」を多様な視点から考えることです。
例えば、お客様への提案がうまくいかなかったとします。
そのとき、「今回はダメだった」で終わるのではなく、
•お客様は何を求めていたのだろうか
•自分の説明は分かりやすかっただろうか
•もっと良い質問はできなかっただろうか
•他のやり方はなかっただろうか
と問いかけることで、経験は学びへと変わります。
この「立ち止まって考える時間」がなければ、人は同じ経験を繰り返すだけになってしまいます。
だからこそ、成長の第一歩は「経験すること」ではなく、「経験を振り返ること」にあるのです。

2-2 成長を決める「抽象的概念化(持論形成)」

しかし、経験学習モデルで最も重要なのは、その次の「抽象的概念化」です。
抽象的概念化とは、経験から得た気づきを「他の場面でも活かせる自分なりの考え方」に整理することです。
私はこれを「持論形成」と呼んでいます。
例えば、営業で契約が取れた経験があったとします。
「今日は運が良かった」で終われば、その経験は一度きりで終わります。
しかし、
「お客様がたくさん話してくださったから信頼関係ができた」
「つまり、人は『話をしっかり聴いてくれる相手』に安心感を抱くのではないか」
というように、自分なりの法則へと整理できれば、その学びは他のお客様との商談にも応用できます。
これが「持論形成」です。
経験そのものではなく、経験から自分なりの理論をつくることが、人を大きく成長させます。
実は、この「抽象的概念化」が十分にできていないために、経験を積んでも成長につながらないケースは少なくありません。
だからこそ、経験学習モデルの中でも、このステップが最も重要だといえるでしょう。

3.経験学習モデルが自己効力感を高める理由

3-1 経験が「自分ならできる」という自信を育てる

前回の記事では、自己効力感とは「自分ならできる」という感覚であることをお伝えしました。
経験学習モデルは、この自己効力感を高めるための仕組みでもあります。
経験を振り返り、そこから学び、自分なりの持論をつくり、それを次の仕事で試す。
すると、以前よりもうまくいく場面が増えていきます。
この「自分で考え、改善し、成果につながった」という成功体験が、「自分ならできる」という自信につながります。
自己効力感は、誰かから与えられるものではありません。
経験から学び続けることで、自ら育てていくものなのです。

3-2 失敗も自己効力感につながる理由

自己効力感というと、「成功体験が大切」と思われがちです。
もちろん成功体験は重要ですが、実は失敗も大きな学びになります。
大切なのは、失敗をどう捉えるかです。
失敗した経験を内省し、「なぜそうなったのか」「次はどうすればよいのか」を考えれば、その経験は次の成功につながる貴重な財産になります。
「失敗したから終わり」ではなく、「失敗したからこそ学べた」という経験を積み重ねることで、「次はできる」という自己効力感が育まれていきます。

4.管理職が実践したい経験学習型マネジメント

4-1 まずはストレッチ経験を積ませる

部下育成で最も重要なのは、「まず経験させること」です。
新しい仕事や少し難しい役割など、本人が少し背伸びをすれば届くレベルの「ストレッチ経験」は、人を大きく成長させます。
一方で、失敗を恐れて挑戦させない環境では、経験も増えず、成長も止まってしまいます。
もちろん、挑戦には失敗がつきものです。
だからこそ、管理職は失敗を責めるのではなく、「何を学べたか」を一緒に考える姿勢が大切です。

4-2 1on1で「内省」と「概念化」を支援する

経験を成長へと変えるためには、上司の関わりも重要です。
特に1on1ミーティングは、経験学習モデルを回す絶好の機会です。
例えば、
「何がうまくいった?」
「なぜそう思う?」
「次も使えそうな考え方はある?」
「他の仕事にも応用できそう?」
このような問いかけを通して、部下は経験を振り返り、自分なりの持論を形成していきます。
上司が答えを教えるのではなく、部下自身が答えを見つけられるよう支援することが、経験学習型マネジメントの本質です。

5.経験を学びに変える組織が、人と組織を成長させる

5-1 失敗を責めない組織文化をつくる

挑戦が歓迎される組織では、人は安心して新しいことに取り組めます。
一方で、失敗を責める文化では、人は挑戦を避けるようになり、経験から学ぶ機会も失われてしまいます。
経験学習モデルを組織に根づかせるためには、「失敗を責める」のではなく、「失敗から何を学ぶか」を大切にする文化が必要です。
挑戦できる安心感があるからこそ、人は経験を重ね、学び続けることができます。

5-2 キャリア自律につながる人材育成

キャリア自律とは、会社任せではなく、自ら考え、自ら学び、自らキャリアを切り拓いていくことです。
そのためには、知識やスキルだけではなく、「経験から学ぶ力」を育てることが欠かせません。
経験学習モデルは、単なる育成手法ではありません。社員一人ひとりが経験を成長につなげ、「自分ならできる」という自己効力感を高め、主体的に挑戦し続けるための土台となる考え方です。
管理職は、部下に経験の機会を与え、その経験を一緒に振り返り、持論形成を支援する。そして、社員自身が経験から学び続けられる組織文化を育むことが重要です。
経験を積むだけでは、人は成長しません。経験を振り返り、意味づけ、自分なりの学びへと昇華し、次の挑戦へ活かすこと。その積み重ねこそが、自己効力感を育み、キャリア自律を実現し、人と組織の持続的な成長につながっていくのです。

Cheer Bridgeでは、社員一人ひとりの自律的な成長を支援し、その成長を組織の成長へとつなげる人材育成・組織開発を支援しています。 社員と組織がともに元気になる未来づくりに、これからも取り組んでまいります。

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